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方丈記

ほうじょうき

成立

鎌倉時代初期に鴨長明によって書かれた随筆隠者文学を代表する作品。

清少納言枕草子』、兼好法師徒然草』にならんで日本三大随筆の一つ。

内容

無常観を根拠として、隠者として俗世を捨て方丈の庵に住むことを勧めたもの。

五大災厄(安元の大火・治承の辻風・福原遷都・養和の飢饉・元暦の大地震)など、歴史を描く史料としても大きな価値がある。

白居易の『廬山草堂記』・『池上篇』および慶滋保胤の『池亭記』(本朝文粋)の影響を強く受けている。

白居易 廬山草堂記

匡廬奇秀,甲天下山。山北峰曰香炉峰,北寺曰遺愛寺。介峰寺間,其境勝絶,又甲廬山。元和十一年秋,太原人白楽天見而愛之,若遠行客過故郷,恋恋不能去。因面峰腋寺,作為草堂。

明年春,草堂成。三間両柱,二室四牖,広袤豊殺,一称心力。洞北戸,来陰風,防徂暑也;敞南甍,納陽日,虞祁寒也。木斤*而已,不加丹。墻杇而已,不加白。(土戚)階用石,冪窗用紙,竹簾佇(糸宁)幃,率称是焉。堂中設木榻四,素屏二,漆琴一張,儒、道、仏書各三両巻。

楽天既来為主,仰観山,俯聴泉,傍睨竹樹雲石,自辰及酉,応接不暇。俄而物誘気随,外適内和。一宿体寧,再宿心恬,三宿後頽然嗒然,不知其然而然。

自問其故,答曰:“是居也,前有平地,輪広十丈;中有平台,半平地台南有方池,倍平台。環池多山竹野卉,池中生白蓮、白魚。又南抵石澗,夾澗有古松、老杉,大僅十人囲,高不知幾百尺。修柯戛雲,低枝拂潭,如幢竪,如蓋張,如竜蛇走。松下多灌叢,蘿蔦葉蔓,駢織承翳,日月光不到地,盛夏風気如八、九月時。下鋪白石,為出入道。堂北五歩,拠層崖積石,嵌空垤霓*,雑木異草,蓋覆其上。緑陰蒙蒙,朱実離離,不識其名,四時一色。又有飛泉植茗,就以烹単 *,好事者見,可以永日。堂東有瀑{佈|布},水懸三{呎|尺},{潟|瀉}階隅,落石渠,昏暁如練色,夜中如環{佩|珮}*琴{筑|築}声。堂西倚北崖右趾,以剖竹架空,引崖上泉,脈分{綫|線}懸,自{檐|簷}{注|註}砌,{累|纍}{累|纍}如貫珠,霏微如雨露,滴瀝飄灑,随風遠去。其四{徬|旁}耳目、杖屨可及者,春有錦{綉|繍}{穀|谷}花,夏有石門澗雲,秋有虎溪月,冬有炉峰雪。陰睛顕晦,昏旦含葉,千変万状,不可殫紀,鑼*縷而言,故{云|雲}甲廬山者。噫!凡人豊一屋,華一簀,而起居其間,尚不免有驕穏之態;今我為是物主,物至{緻|致}知,各以類至,又安得不外適内和,体寧心恬哉!昔永、遠、宗、雷輩十八人衕入此山,老死不返,去我千載,我知其心以是哉!

矧予自思:従幼迨老,若白屋,若朱門,凡所止,雖一日二日,輒覆簣土為台,聚拳石為山,環斗水為池,其喜山水病癖如此。一旦騫剥,来佐江郡。郡守以優容而撫我,廬山以霊勝待我,是天与我時,地与我所,卒獲所好,又何以求焉。尚以冗員所羈,余累未尽,或往或来,未遑寧処。待予異時,弟妹婚嫁畢,司馬歳秩満,出処行止,得以自遂,則必左手引妻子,右手抱琴書,終老於斯,以成就我平生之志。清泉白石,実聞此言!

時三月二十七日,始居新堂。四月九日,与河南元集虚、范陽張允中、南陽張深之、東西二林長老湊、朗、満、晦、堅等凡二十有二人,具斎施茶果以落之。因為草堂記。

白居易 池上篇本文

十畝之宅 五畝之園 有水一池 有竹千竿 勿謂土狭
勿謂地偏 足以容膝 足以息肩 有堂有庭 有橋有船
有書有酒 有歌有弦 有叟在中 白鬚飄然 識分知足
外無求焉 如鳥択木 姑務巣安 如亀居坎 不知海寛
霊鶴怪石 紫菱白蓮 皆吾所好 尽在吾前 時飲一杯
或吟一篇 妻孥熙熙 鶏犬閑閑 優哉游哉
吾将終老乎其間

文体

文体は和漢混淆文で書かかれる。流布本系は漢字平仮名交じりで書かれるが、真名本は漢字のみ。

なお、長明自筆ともいわれ、近年の注釈書の底本となっている大福光寺本は、漢字片仮名交じりである。

諸本

伝本は非常に数が多く、諸本は、大きく広本略本にわけられ、さらに広本は古本系、流布本系に分けられる。

これらの異本の存在を、後世の偽作とする説と、草稿からの成立課程に生じたものとする説がある。

かつては流布本系諸本が多く注釈書の底本に用いられたが、現在一般的に古本系 最古写本で長明自筆ともいわれる大福光寺本が主流である。

古本系(広本)

流布本系(広本)

語句などに多数の異同があるほか、古本系にはない記事がある。

また、巻末に源季広の和歌「月かげは入る山の端もつらかりきたえぬひかりをみるよしもがな」(『新勅撰和歌集』巻十釈教歌)をおくものが多い。

略本系

広本系に比べて本文が極めて短く、五大災厄の記事を欠く。いずれも角川文庫『方丈記』に翻刻されている。

  • 長享本
    • 東大本、彰考館本、小川寿一氏蔵本など。
  • 延徳本
    • 東大本旧蔵(焼失)、藤森花影氏旧蔵本(焼失)、小川寿一氏蔵本。
  • 真名
    • 吉沢義則氏旧蔵本

参考サイト

参考文献

注釈書

  • 校註鴨長明全集(簗瀬一雄・風間書房・昭和55年8月)
  • 角川文庫『方丈記』(梁瀬一雄・角川書店・1967/06/15):略本系本文付き
  • 『方丈記解釈大成』(梁瀬一雄・大修館書店・1972/06/20):諸注釈書の詳細な比較と批判。
  • 『方丈記諸注集成』(梁瀬一雄・豊島書房・1969/02/10):方丈記の古注釈書6本の翻刻。
  • 『方丈記全注釈』(梁瀬一雄・角川書店):すみません、持ってません。誰か書いて!
  • 日本古典文学大系『方丈記・徒然草』(西尾実・岩波書店・1957/06/05): 
  • 講談社文庫『方丈記』(川瀬一馬・講談社・1971/07/01): 
  • 新潮日本古典集成『方丈記・発心集』(三木紀人・新潮社・1976/10/05): 
  • 日本古典全書『方丈記―鴨長明集―』(細野哲夫・朝日新聞社・70/08/20):長享本・延徳本・真字本・池亭記無名抄など
  • 校注古典叢書『方丈記・発心集』(井出恒雄・明治書院・76/04/15): 
  • 岩波文庫『新訂方丈記』(市古貞次・岩波書店・1989/05):大福光寺本の影印付き。
  • 日本の文学古典編26『方丈記・宇治拾遺物語』(小島孝之・ほるぷ出版・1987年7月)
  • 新日本古典文学大系『方丈記・徒然草』(佐竹昭広 久保田淳・岩波書店・1989年1月)

#もっとうじゃうじゃあると思うんで、付け足してください。

rhizome/方丈記.txt · 最終更新: 2014/04/07 04:06 by Satoshi Nakagawa
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