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古今著聞集

ここんちょもんじゅう

成立

鎌倉時代中期の説話集。作者自身の序跋により作者は橘成季、建長六年(1254)の成立と分かる。ただし、成季がどのような人物であったかについては、まだよく分かっていない。

序によれば、『古今著聞集』は『宇治大納言物語』のあとを継ぐもので、『江談抄』のなごりであるといい、跋によるともともとは絵画の種本として集められた物語であったという。

中世を代表する世俗説話集の一つで、規模としては『今昔物語集』に次いで大きく、収録されている説話も『今昔物語集』との重複はほとんどない。

内容

20巻726話からなり、漢文による序文仮名による跋文、目録を備えている。

ただし、後人により補入されたと思われる説話も多くあり、その多くは『十訓抄』からの補入である。

内容は勅撰和歌集部立を参考にした30の項目に分類され、各項目に成季自身の序を備えており、同種の説話集としては非常に整理された構成である。

『古今著聞集』序

夫著聞集者、宇県亜相巧語之遺類、江家都督清談之余波也。余稟芳橘之種胤、顧璅在之樗質、而琵琶者賢師之所伝也。儻弁六律六呂之調。図画者愚性之所好也。自養一日一時之心。於戯春鴬囀花下、秋雁之叫月前、暗感幽曲之易和。風流之随地勢、品物叶天為、悉憶彩筆之可写。繇茲或伴伶客、潜楽治世之雅音、或誂画工、略呈振古之勝概。蓋居多暇景以降、閑度徂年之故、拠勘此両端、捜索其庶事。註緝為三十篇。編次二十巻。名曰古今著聞集。頗雖為狂簡、聊又兼実録。不敢窺漢家経史之中。有世風人俗之製矣。只今知日域古今之際、有街談巷説之諺焉。猶愧浅見寡聞之疎越。偏招博識宏達之盧胡。努不出蝸廬。謬比鴻宝。于時建長六年応鐘中旬。散木士橘南袁。愗課小童猥叙大較而已。

『古今著聞集』跋

この集のおこりは、予そのかみ、詩歌管弦のみちみちに、時にとりてすぐれたる物語をあつめて、絵にかきとどめむがためにと、いそのかみふるきむかしのあとより、浅茅がすゑの世のなさけにいたるまで、ひろく勘へ、あまねくしるすあまり、他の物語にもおよびて、かれこれ聞きすてず書きあつむるほどに、夏野の草ことしげく、もりのおちばかずそひ侍りにけり。これ、そこはかとなきすずろごとなれども、いにしへより、よきこともあしきことも、しるし置き侍らずは、たれかふるきをしたふなさけをのこし侍るべき。これによりて、或は家々の記録をうかがひ、或は処々の勝絶をたづね、しかのみならず、たまぼこのみちゆきずりの語らひ、あまさかなるひなのてぶりのならひにつけて、ただに聞きつてに聞く事をもしるせれば、さだめてうける事も、またたしかなることもまじり侍らんかし。つひに部をわかち巻をさだめて、三十篇二十巻とす。篇のはしばしにいささかそのことのおこりをのべて、つぎつぎにその物語をあらはせり。
建長六年十月十六日、終わりの宴になずらへて、詩歌管弦の興をもよほす。かつはこの集、かの三つの道よりおこれるによりて、白楽天・人丸・廉承武の画影をかけて、そのまへまへにいろいろの供物をそなへ、また酒脯菜菓の尊をまうく。
まづ序よりはじめて三十篇のはしがきならびに物語一段をよみあぐ。次に糸竹の声をあはせて、呂律の曲をとなふ。次に詩を講ず。題に云はく「冬は来たる文学の家(一字)」。次に和歌を講ず。題に云はく「朝の残菊」「夕の落葉」「鶴に寄する祝」、おのおの披講畢りて朗詠あり。「嘉辰の令月」、次に「泰山は土壌を譲らず」、次に「今生世俗」の句等なり。予、みなこれをいたす。人々声をたすく。この三ケの郢曲の心をもて竟宴の旨趣とするものなり。次に一献の盃を勧む。二献に箸をたつ。三献にまた郢曲あり。そののち数献におよぶ。冬の夜、漸くあけなんとして人々席をたつ。今、多年収拾の功をとげて、一部竟宴の儀をいたす。今日の綺こころざしのゆくところなり。
そもそもこの集においては、他見をゆるすべからず。若し子孫の中に、この鑑誡をそむきて閽外にいだすものあらば、我が子孫たるべからず。氏の明神かならず照罰を加へ給ふべきものなり。但し人によりて許否あるべし。事にしたがひて思惟をいたすべし。繊芥のへだてなく、等閑の儀あさからざらむには、間これをゆるすべし。つらつらこれらのおもむきを思へば、みな蘧氏の非に似たり。すみやかに三十巻狂簡の綺語をもて、翻して四八知遇の勝因とせん。「麁言柔輭之文、仏種従縁起之教」を此取信といへる事なり。
建長六年十月十七日、宴後朝、右筆記之。当時凍雲片々、青嵐漠々。満籬之残菊、黄紫交色、引砌之小泉、鴛鴦双翅、閑庭之物、足動我情者也。
朝請大夫橘成季

本文目録

巻第一神祇第一
巻第二釈教第二
巻第三政道忠臣第三公事第四
巻第四文学第五
巻第五和歌第六
巻第六管弦歌舞第七
巻第七能書第八術道第九
巻第八孝行恩愛第十好色第十一
巻第九武勇第十二弓箭第十三
巻第十馬芸第十四相撲強力第十五
巻第十一画図第十六蹴鞠第十七
巻第十二博奕第十六偸盗第十九
巻第十三祝言第二十哀傷第二十一
巻第十四遊覧第二十二
巻第十五宿執第二十三闘諍第二十四
巻第十六興言利口第二十五
巻第十七怪異第二十六変化第二十七
巻第十八飲食第二十八
巻第十九草木第二十九
巻第二十魚虫禽獣第三十

諸本

参考文献

注釈書

  • 角川文庫『古今著聞集』上・下(中島悦次・角川書店・1975年8月〜1978年4月)
  • 日本古典文学大系『古今著聞集』(永積安明、島田勇雄・岩波書店・1966年3月)
  • 新潮日本古典集成『古今著聞集』上・下(西尾光一、小林保治・新潮社・1983年6月〜1986年12月)

抄出

  • 鑑賞日本古典文学23『中世説話集』(西尾光一 貴志正造編・角川書店・昭和52年5月)
rhizome/古今著聞集.txt · 最終更新: 2014/04/15 14:33 by Satoshi Nakagawa
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