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- 巻11第35話 藤原伊勢人始建鞍馬寺語 第卅五
- 今昔物語集 ====== 巻11第35話 藤原伊勢人始建鞍馬寺語 第卅五 ====== 今昔、聖武天皇の御代に、従四位にて藤原の伊勢人と云ふ人有けり。心賢くて智り有り。 其の時に、天皇、東大寺を造給ふ。此の人、其の行事として有る間、心の内に思はく、「... 中より谷の水流出たり。絵に書ける蓬莱山に似たり。山の麓に副て河流れたり。此の所に、年老たる翁出来て、伊勢人に告て云く、「汝ぢ、此の所を知れりや否や」と。伊勢人、知らざる由を答ふ。翁の云く、「汝ぢ、吉く聞け。此の所は霊験掲焉ならむ事、他の山に勝れたり。我れは此の山の鎮守として、貴布禰の明神と云ふ。此にして多の
- 巻24第31話 延喜御屏風伊勢御息所読和歌語 第卅一
- 今昔物語集 ====== 巻24第31話 延喜御屏風伊勢御息所読和歌語 第卅一 ====== 今昔、延喜の天皇((醍醐天皇))、御子の宮の御着袴(はかまぎ)の料に、御屏風を為させ給て、其の色紙形に書くべ... く思食し廻して、藤原伊衡と云ふ殿上人の、少将にて有けるを召ぬ。即ち参ぬ。 仰せられて云く、「只今、伊勢御息所の許に行て、『此る事なむ有る。歌読て』」とて遣はす。此の御使に伊衡を遣す事は、此の人、形ち・有
- 巻24第47話 伊勢御息所幼時読和歌語 第四十七
- 今昔物語集 ====== 巻24第47話 伊勢御息所幼時読和歌語 第四十七 ====== 今昔、伊勢の御息所の、未だ御息所にも成らで、七条の后((藤原温子))の許に候ひける比、枇杷左大臣((藤原仲平))、未だ若くして少将にて有ける程に、極く忍て通ひ... か)に其の気色を見てけり。 其の後、少将、通ひ給はずして、音無かりければ、此く読てなむ遣たりける。伊勢、 人しれず絶なましかばわびつつもなき名ぞとだにいはましものを と。 少将、此れを見て、「
- 巻29第36話 於鈴香山蜂螫殺盗人語 第卅六
- == 今昔、京に水銀商する者有けり。年来、役と商ければ、大きに富て、財多くして、家豊か也けり。 伊勢の国に年来通ひ行(あるき)けるに、馬百余疋に諸の絹・糸・綿・米などを負せて、常に下り上り行けるに、只... けり。然れば、弥よ富び増(まさ)りて、財失する事無し。亦、火に焼け水に溺る事無かりけり。 就中に、伊勢の国は、極き父母が物をも奪取り、親き踈きをも云はず、貴きも賤きも簡(えら)ばず、互に隙を量て魂を暗ま... て年月を送ける程に、公も国の司も、此れを追捕せらるる事も否(え)無かりけるに、其の時に、此の水銀商、伊勢の国より、馬百余疋に諸の財を負せて、前々の様に小童部を以て追せて、女共など具して、食物などせさせて上
- 巻15第38話 伊勢国飯高郡尼往生語 第卅八
- 今昔物語集 ====== 巻15第38話 伊勢国飯高郡尼往生語 第卅八 ====== 今昔、伊勢の国飯高の郡上平の郷に一人の尼有けり。此の石山寺の真頼と云ふ僧は、此の尼の末孫也けり。 此の尼、本より道心有ければ、出家して、尼と成て、偏に弥陀の念仏
- 巻15第51話 伊勢国飯高郡老嫗往生語 第五十一
- 今昔物語集 ====== 巻15第51話 伊勢国飯高郡老嫗往生語 第五十一 ====== 今昔、伊勢の国飯高の郡□□の郷に、一人の老たる嫗有けり。道心有て、月の上十五日には仏事を修して、下十五日には世路を営けり。其の仏事を勤ける様ま、常に香を買て、
- 巻17第13話 伊勢国人依地蔵助存命語 第十三
- 今昔物語集 ====== 巻17第13話 伊勢国人依地蔵助存命語 第十三 ====== 今昔、伊勢国飯高の郡に住ける人有けり。月毎の廿四日に精進にして戒を受て、地蔵菩薩を念じ奉けり。此れ年来の勤也。 然るに、彼の飯高の郡には、水金を掘て、公に奉る
- 巻12第31話 僧死後舌残在山誦法花語 第卅一
- 経て、此の僧、「此の所を去なむ」と思ふ心有て、菩薩に告て云く、「今、我れ、此の所を罷り退て、山を超て伊勢の国に行むと思ふ」と云て、縄床を菩薩に与ふ。菩薩、此れを聞て哀むで、糯の干飯を舂き篩(ふるひ)て、二
- 巻20第41話 高市中納言依正直感神語 第四十一
- 政を任せ給へり。此れに依て、高市麿、国を治め民を哀ぶ。 而る間、天皇、諸司に勅して、狩に遊ばむ為に伊勢の国に行幸有らむとして、「速に其の儲を営むべし」と下さる。而るに、其の時、三月の比也。高市麿、奏して
- 巻24第53話 祭主大中臣輔親郭公読和歌語 第五十三
- なりけり と。人々、此れを極く感じけり。 此の輔親は能宣と云ける人の子也。能宣も微妙き歌読にて有ければ、相継て、此の輔親も此く歌を読む也けり。此れをば、伊勢の祭主に成伝はず孫也となむ語り伝へたるとや。
- 巻27第44話 通鈴鹿山三人入宿不知堂語 第四十四
- 今昔物語集 ====== 巻27第44話 通鈴鹿山三人入宿不知堂語 第四十四 ====== 今昔、伊勢の国より近江の国へ超ける若き男三人有けり。下衆なれども、三人乍ら、心猛く思量有けり。 鈴鹿の山を通
- 巻31第37話 近江国栗太郡大柞語 第卅七
- の圍五百尋也。然れば、其の木の高さ、枝を差たる程を思ひ遣るべし。其の影、朝には丹波の国に差し、夕には伊勢の国に差す。霹靂する時にも動かず。大風吹く時にも揺がず。 而る間、其の国の志賀・栗太・甲賀三郡の百