text:zotanshu:zotan01-13
巻1第13話(13) 薬王二臂を捨てて又復生する事
校訂本文
薬王菩薩は、臂(ひぢ)を燃(とも)ひて後、また復生(ふくしやう)すること、何の表示ぞや1)。甚深の義有り。捨つる所は、断常の二見2)、有無の二執なり。これ遮詮(しやせん)の法門の表示なり。復する所は、実有を棄てて妙有を得、断空を棄てて妙空を証す。仏法の大綱、凡夫(ぼんぶ)は有執、二乗は但空。有無の見を棄てて後、常に有無を用ゐる。
法の有無はすなはち妙有真空なり。妙有は常に慈悲家を構ふ。真空恒(つね)に法空の座にいます。かくのごとくして、忍辱(にんにく)の衣を着る。この人、常に法華の行人なり。衣坐室は三諦(さんだい)の法門なり。失は妙仮、衣は中道、坐は如空、これは天台師3)の専依より用ゐる縁、中論4)の因縁所生法の文意なり。この法門、意(こころ)を得れば、天台一宗ことごとく旨を得るなり。
法門は広くすれば、法界に遍(あまね)し。虚空なほ容(い)るべからず。略すれば、方寸にあり。外に尋ぬべからず。法門の大意、これに過ぐべからず。忠国師5)の云はく、「真は水、水を釈(と)く。妄は水、水を結ぶ。6)(宝蔵論にこれあり7))」。
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薬王二臂ヲ捨テテ又復生スル事 薬王菩薩ハ臂ヲ燃ヒテ後又復生スルコト何ニノ表示哉甚深ノ義有リ 所ハ捨ル断常ノ二見有無ノ二執也此レ遮詮ノ法門ノ表示也所ハ 復スル者棄テ実有ヲ得妙有ヲ棄断空ヲ証妙空ヲ仏法ノ大綱凡夫ハ 有執二乗ハ但空棄有無ノ見後常用有無ヲ法ノ有無ハ即チ妙有/1-23r
真空也妙有ハ常ニ構慈悲家ヲ真空恒ニ坐ス法空ノ座ニ如此シテ 著忍辱ノ衣ヲ此人常ニ法華ノ行人也衣坐室ハ三諦ノ法門也失ハ 妙仮衣ハ中道坐ハ如空是ハ天台師ノ専依ヨリ用ル縁中論ノ 因縁所生法ノ文意也此ノ法門得意ハ天台一宗悉ク得ル旨ヲ也 法門ハ広クスレハ遍法界ニ虚空猶不可容ル略スレハ有方寸ニ不 可外ニ尋ヌ法門ノ大意不可過ク之忠国師ノ云真ハ水釈水ヲ妄ハ 水結フ水ヲ(宝蔵論ニ有之)/1-23l
text/zotanshu/zotan01-13.txt · 最終更新: by Satoshi Nakagawa
