text:takafusa:s_takafusa059
59 後の世をあはれと君が言ふならば死なむ命も何か惜しまん
校訂本文
その夜、静かなりしかば、さまざま語らひし中に、「久しく世にも長らふまじき夢を見たる」と言ひしかば、ゆゆしくあはれげに思ひて、「さらむ世には、いかがせんずる」と言ひしことの、忘れず思ひ出でられて、
後の世をあはれと君が言ふならば死なむ命も何か惜しまん
翻刻
その夜しつかなりしかは/s28r
さまさまかたらひし中にひさ しくよにもなからふまし きゆめをみたるといひ しかはゆゆしくあはれけに おもひてさらむよにはいかか せんするといひし事の わすれす思ひいてられて のちのよをあはれときみかいふならは しなむいのちもなにかをしまん/s28l
text/takafusa/s_takafusa059.txt · 最終更新: 2024/04/05 12:22 by Satoshi Nakagawa