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text:takafusa:s_takafusa058

隆房集

58 たどりつつ分くる袂にかけてけり行きもならはぬ道芝の露

校訂本文

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にはかに思ひ出でられて、あさましきまで覚ゆれば、とりもあへず、ものにも乗らで1)、徒歩(かち)より行きたれば、例の逢はぬものゆゑ、帰るさのいと苦しきに、「かかる有様こそさすがに覚えね」と、われながら思ひ知られて、

  たどりつつ分くる袂(たもと)にかけてけり行きもならはぬ道芝(みちしば)の露

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翻刻

 にはかにおもひいてられて/s27l

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100002834/27?ln=ja

 あさましきまておほゆれは
 とりもあへすものにも
 のしてかちよりゆきたれは
 れいのあはぬものゆへかへる
 さのいとくるしきにかかるあ
 りさまこそさすかにおほえ
 ねとわれなから思しられて
たとりつつわくるたもとにかけてけり
ゆきもならはぬみちしはのつゆ/s28r

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100002834/28?ln=ja

1)
「ものにも乗らで」は底本「ものにものして」。群書類従本により訂正。
text/takafusa/s_takafusa058.txt · 最終更新: 2024/04/03 11:58 by Satoshi Nakagawa