text:takafusa:s_takafusa053
53 たまさかにわが待ちえたる月なればおぼろげならぬ有明の影
校訂本文
「仏・神の助けにや」と、思ひがけす行きあひたりしかども、あまりの嬉しさに、心騒ぎして、日ごろ思ひしことも思ふばかり言はれぬほどに、夜も明けがたになりしかば、急ぎ帰るとて、有明の月くまなく澄みのほりたる影に、まばゆきさまにて行きし姿の、いかならむ世に忘れなんと、いふかたなくて、
続1)
たまさかにわが待ちえたる月なればおぼろげならぬ有明の影
翻刻
ほとけ神のたすけにやと おもひかけすゆきあひたり しかともあまりのうれし さにこころさはきしてひ ころおもひしことも思ふは かりいはれぬほとによもあけ かたになりしかはいそき かへるとてありあけの月く まなくすみのほりたるかけに/s25l
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100002834/25?ln=ja
まはゆきさまにてゆきし すかたのいかならむよに わすれなんといふかたなくて 続 たまさかにわかまちえたる月なれは おほろけならぬありあけのかけ/s26r
1)
続後撰和歌集
text/takafusa/s_takafusa053.txt · 最終更新: 2024/03/27 12:24 by Satoshi Nakagawa