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text:sesuisho:n_sesuisho8-089

醒睡笑 巻8 かすり

6 江州志賀の浦に姥あり・・・

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江州志賀の浦に姥(うば)あり。天然作意、生まれつきて、かすりしかじか1)を言ふに上手なり。

かするを好む盲者あり。若狭の小浜より、はるばるとかれがもとへ会ひに行き、何となう宿を借りしが、飯の汁を一口吸ひ、「この汁の実はなにぞ」と問ふ。姥、「それはくぐたちの汁候ふよ」。「人の口切らうとて2)」。「いや、去年八月からなまいて3)おいた」と。

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一 江州志賀の浦に姥(うは)あり天然作意むまれ
  つきてかすりしかしかをいふに上手なりかするを
  このむ盲者あり若狭の小浜よりはるはる
  とかれがもとへあひに行なにとなふ宿をかり
  しか飯の汁を一口すひ此汁の実はなにぞと
  とふ姥それはくくたちの汁候よ人の口き
  らふとていや去年八月からなまいてをいたと/n8-37r
1)
秀句(しうく)か。
2)
くぐたち≒口太刀
3)
焼きなます・菜蒔く
text/sesuisho/n_sesuisho8-089.txt · 最終更新: 2022/11/26 16:33 by Satoshi Nakagawa