text:sesuisho:n_sesuisho8-053
醒睡笑 巻8 頓作
53 宗祇修行の時山中にて思ひよりなき人三人行きむかひ一人言ふ・・・
校訂本文
宗祇、修行の時、山中にて思ひよりなき人三人行きむかひ、一人言ふ、
一つある物、三つに見えけり
すなはち祇公1)、
たぐひなき小袖の衿のほころびて
また次の者言ふ、
二つある物、四つ2)に見えけり
また宗祇、
月と日と入江の水に影さして
また一人が言ふ、
五つある物一つ見えけり
また祇公、
月にさすその指ばかりあらはして
右三句ともに聞きて後、三人いづちとも見えず失せにけり。
翻刻
一 宗祇修行の時山中にておもひよりなき人 三人行むかひ一人いふ 一つある物三つに見へけり すなはち祇公 たくひなき小袖のゑりのほころひて 又次の者いふ 二つある物四時に見けり/n8-23r
又宗祇 月と日と入江の水に影さして 又ひとりがいふ 五つある物一つみへけり 又祇公 月にさす其ゆひはかりあらはして 右三句ともに聞て後三人いつちとも見へす うせにけり/n8-23l
text/sesuisho/n_sesuisho8-053.txt · 最終更新: 2022/11/01 14:48 by Satoshi Nakagawa