text:sesuisho:n_sesuisho8-002
醒睡笑 巻8 頓作
2 尾州熱田大明神の祭礼に貴賤参詣の袖を連ぬる・・・
校訂本文
尾州熱田大明神1)の祭礼に、貴賤参詣の袖を連ぬる。かしこも伊勢両宮2)のごとく、禰宜(ねぎ)集まり袂(たもと)にむすぼほれ、銭を貰(もろ)ふことかまびすしきほどなり。
さるまま、百姓あまた連れだち下向するに、「さても、熱田の禰宜どもは人でないぞ」と言ひつつ、きつと後ろを見れば、白張装束(しらはりしやうぞく)に烏帽子(ゑぼし)きて、金磨きの扇末広がりを持ちたるあり。大きに驚き、そのまま、「ただ神半分の人よ」と。
翻刻
一 尾州(ひしう)熱田(あつた)大明神の祭礼(さいれい)に貴賤(きせん)参詣(さんけい)の 袖をつらぬるかしこも伊勢両宮のことく禰宜 あつまり袂にむすほほれ銭をもろふ 事かまびすしき程也さるまま百姓(しやう)あまた つれだち下向するにさても熱田の禰宜とも は人てないぞといひつつ急度うしろを見れは 白張装束(しらはりしやうぞく)に烏帽子(えぼし)きて金磨(みかき)の扇(ふふき)すへ ひろかりをもちたるあり大におとろきそのまま/n8-4r
たた神半分(かみはんふん)の人よと/n8-4l
text/sesuisho/n_sesuisho8-002.txt · 最終更新: 2022/09/22 17:01 by Satoshi Nakagawa