ユーザ用ツール

サイト用ツール


text:sesuisho:n_sesuisho8-003

醒睡笑 巻8 頓作

3 武州江戸家康公天下をしろし召されし始め・・・

校訂本文

<<PREV 『醒睡笑』TOP NEXT>>

武州江戸家康公1)、天下をしろし召されし始め、伏見のある屋形(やかた)にて、霜月末つかた、「来正月をば東(ひがし)にてやなされん、また都にて御越年(ごをつねん)やあらん」など、評定(ひやうぢやう)ありしに、ある者の申すやう、「いや、御年をば東にてあそばされ候ふ」と。「誰に聞きたるぞ」。「われらのよくぞんじて候ふ。明年の暦に、『大将軍東にあり、しかもこの方に向かつて大小便せざれ2)』と尊(たつと)び書きてあり」。

<<PREV 『醒睡笑』TOP NEXT>>

翻刻

一 武州(ふしう)江戸家康公天下をしろしめされし
  始伏見のある屋形(かた)にて霜月末つかた来正
  月をはひかしにてやなされん又都にて御越年
  やあらんなと評定(ひやうしやう)ありしにある者の申やうい
  や御年をは東にてあそはされ候と誰にきき
  たるそ我らのよく存知(ぞんし)て候明年の暦に大
  将軍東にありしかも此方にむかつて大小便
  せきれとたつとひ書てあり/n8-4l
1)
徳川家康
2)
「大将軍」は陰陽道の八将神。「大小便せざれ」は「大小弁ぜざれ」が正しい。「せざれ」は底本「せきれ」。諸本により訂正。
text/sesuisho/n_sesuisho8-003.txt · 最終更新: 2022/09/22 17:29 by Satoshi Nakagawa