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醒睡笑 巻8 頓作
1 ある大名の前にて当時能の上手は誰にてあらんやと・・・
校訂本文
ある大名の前にて、「当時、能の上手は誰にてあらんや」と、おのおの讃嘆ある中に、金春(こんぱる)を讃むるあり、金剛(こんがう)を讃むるあり。
人々心々なりし時、こざしき者の申しけるやう、「私はただ春日大夫(しゆんにちたいふ)を天下一と存ずる」と。「いかなれば、さは言ふぞ」。「春日を上手とは、われら斗ばかりの世にてはござない。昔から1)神たちも讃めさせられたもの。三社の託宣に春日大明神(しゆんにちだいめいじん)とあり」。
翻刻
醒睡笑巻之八 頓作 一 或大名(あるたいみやう)の前(まへ)にて当時(たうし)能(のふ)の上手(しやうづ)は誰にてあらん やとをのをの讃嘆(さんだん)ある中に金春をほむる有 金剛(こんがう)をほむる有人々心々なりし時こざし き者の申けるやう私はたた春日大夫を天下一 と存するといかなれはさはいふそ春日を上手 とは我ら斗のよにては御座ないむかしはら 神達もほめさせられた物三社(しや)の託宣(たくせん)に/n8-3l
春日大明神とあり/n8-4r
1)
「から」は底本「はら」。諸本により訂正。
text/sesuisho/n_sesuisho8-001.txt · 最終更新: 2022/09/22 12:15 by Satoshi Nakagawa