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醒睡笑 巻7 舞
11 饅頭を菓子に出だしてあればこれは小豆ばかり入りて位高し・・・
校訂本文
饅頭を菓子に出だしてあれば、「これは小豆(あづき)ばかり入りて位(くらゐ)高し。われらごとき者の賜はるは、ありがたき」とていただく。
また「砂糖饅頭は近来の出来物、何の系図となし。世の常の者は、うまさのまま奔走(ほんそう)に思ふ」と言ひてくすみたり。「その方は何としてその別(わかち)をば知られたるぞ」。「かくれもない。満仲(まんぢう)の舞に、『貞純(さたずみ)の親王の御子をば六孫王(そんわう)と申し、六孫王の御子をばただのまんぢう1)と申し奉る』と」。
翻刻
一 饅頭(まんちう)を菓子にいだしてあれはこれは小豆(あつき) 斗入て位高(くらゐたか)し我等ごとき者のたまはるはあ りがたきとていただく又砂糖(さとう)まんぢうは近(きん) 来(らい)の出来物(できもの)なにのけいつとなしよのつね の者はうまさのまま奔走(ほんそう)におもふといひ てくすみたり其方はなにとしてそのわ/n7-56r
かちをばしられたるぞかくれもない満仲(まんちう)の舞(まい) に貞純(さたすみ)の親王(しんわう)の御子をば六孫王(そんわう)と申六 孫王の御子をばたたのまんちうと申奉ると/n7-56l
1)
多田満仲・ただの饅頭
text/sesuisho/n_sesuisho7-118.txt · 最終更新: 2022/09/16 11:44 by Satoshi Nakagawa