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text:sesuisho:n_sesuisho7-089

醒睡笑 巻7 謡

31 三五夜中の新月は宵よりくまなき空の色寝られんものかいざ行かん・・・

校訂本文

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「三五夜中の新月は、宵よりくまなき空の色、寝られんものか、いざ行かん」と、なほざりならずうちとけて、語る宿にぞ集まりぬ。亭、白粥(しらかゆ)を煮て出だせば、「月海上(かいしやう)に浮かんでは1)」と、興をもよほし讃めにけり。

しばしほどあり、吸ひ物に、鰻(うなぎ)調味しすゑたれば、「合ひに合うたるもてなしや。月海上に浮かんでは、鰻も波を走るか2)」と、申せし人のゆかしさよ。

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一 三五夜中の新月は宵(よひ)よりくまなき空の色/n7-46r
  ねられん物かいさゆかんとなをさりならすうちとけて
   かたるやとにぞあつまりぬ 亭しらかゆを
  煮(に)て出せば月海上(かいしやう)にうかんではと興をも
  よほしほめにけりしはし程ありすひ物に
  鰻(うなき)調味(てうみ)しすへたれはあひにあふたるもて
  なしや月海上にうかんては うなきも浪
  をはしるかと申せし人のゆかしさよ/n7-46l
1)
謡曲「竹生島」
2)
竹生島「月海上に浮んでは兎も波を走るか」
text/sesuisho/n_sesuisho7-089.txt · 最終更新: 2022/09/03 14:21 by Satoshi Nakagawa