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text:sesuisho:n_sesuisho7-087

醒睡笑 巻7 謡

29 蝋を付けたる馬二疋京へ上のぼる・・・

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蝋(らふ)を付けたる馬二疋、京へ上のぼる。山中の関にて、「役をせよ」と言ふ。「いや、昔よりそうじて蝋を付けたる馬に、役をしたるためしなし」と、互ひに争論なかばなるみぎり、沼の藤六1)通り合はせ、双方の理非を聞く。「向後(きやうこう)はともあれ、まづこのたびは役を免せ。幸ひ関寺2)に、『らうににはやくもなし3)』とあるに」。

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一 蝋(らう)をつけたる馬二疋京へのほる山中の
  関(せき)にて役をせよといふいや昔より惣して
  らうをつけたる馬に役をしたるためしなしと/n7-45l
  互(たがひ)に争論(そうろん)なかばなる砌(みぎり)沼(ぬま)の藤六とをり
  あはせ双方(さうほう)の理非を聞(きく)向後はともあれま
  づ此度は役をゆるせ幸(さいわひ)関守(せきてら)にらうにには
  やくもなしとあるに/n7-46r
1)
沼藤六・野間藤六
2)
謡曲「関寺小町」
3)
関寺小町「諸行無常と聞くなれども、老耳(ろうに)には益もなし。」
text/sesuisho/n_sesuisho7-087.txt · 最終更新: 2022/08/27 16:20 by Satoshi Nakagawa