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text:sesuisho:n_sesuisho7-082

醒睡笑 巻7 謡

24 津の国にてある侍の鶉狩して遊ばんと・・・

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津の国1)にて、ある侍の鶉狩(うづらがり)して遊ばんと、小鷹すゑさせ出でたれけるに、万代(まんだい)が池のあたりに人集まり、大きにいさかひする体へ、加世者(かせもの)を つかはし様子を見せければ、かの使立ち帰り、「道通りの奉公人と百姓の担桶(たご)荷なひと口論つかまつり候ふが、百性の方が道理さうに見えてござある」。「何と道理とは」。「こえもち少しも騒ぎ給はぬほどに2)」。

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一 つのくににてある侍の鶉狩(うつらかり)してあそばんと
  小鷹すへさせ出たれけるに万代(まんたい)か池のあた
  りに人あつまり大にいさかひする体へ加世者(かせもの)を
  つかはしやうすを見せけれは彼使たちかへり
  道とをりの奉公人と百性(しやう)のたごになひと
  口論(こうろん)仕候が百性のかたが道理(だうり)左右に見へて/n7-43r
  御座あるなにと道理とはこえもち少も
  さはきたまはぬほとに/n7-43l
1)
摂津国
2)
謡曲「紅葉狩」の「維茂すこしも騒がずして」による。「維茂」を「肥え持ち」ともじった。
text/sesuisho/n_sesuisho7-082.txt · 最終更新: 2022/08/17 17:05 by Satoshi Nakagawa