text:sesuisho:n_sesuisho7-063
醒睡笑 巻7 謡
5 日待の座敷にて手拍子を打ち清経の一門は気を失ひ力をおといてと謡ふに・・・
校訂本文
日待(ひまち)の座敷にて手拍子を打ち、清経1)の、「一門は気を失ひ、力をおといて」と謡ふに、小姓ちくと膝をつきけるに驚き、「なにゆゑぞ」と問ふ。「そのことよ、これの殿の羅疫(らやく)2)をわづらひ、さんざんなるを裏方3)の悲しがりて、祈祷のために日を待たせ給ふぞ。頭(かしら)をおといては、にがにがしや」とささやくに、そのまま、「心は真如の玉かづら、心は真如の玉かづらあ4)」と、「ら」を長々と引きて、「長き夢路やさめぬらむ」と直したるもをかしや。
翻刻
一 日待の座敷にて手拍子をうち清経の一門 は気をうしなひちからをおといてとうたふ に小姓ちくと膝をつきけるに驚(おとろ)きなに ゆへそととふ其事よこれの殿のらやくを わつらひさんさんなるをうらかたのかなしかりて祈 祷のために日をまたせ給ふぞかしらをおと/n7-36r
ひてはにかにかしやとささやくに其まま心は 真女の玉かづら心は真女の玉かつらあとら を長々とひきて長き夢路(ゆめぢ)やさめぬらむ となをしたるもおかしや/n7-36l
text/sesuisho/n_sesuisho7-063.txt · 最終更新: 2022/08/15 16:43 by Satoshi Nakagawa