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text:sesuisho:n_sesuisho7-036

醒睡笑 巻7 似合うたのぞみ

5 瓦落ち軒崩れ扉はありし名のみにて旧苔道を厚く閉ぢ藜藿深く茂り合ひ・・・

校訂本文

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瓦落ち軒崩れ、扉はありし名のみにて、旧苔(きうたい)道を厚く閉ぢ、藜藿(れいかく)1)深く茂り合ひ、枕にすだく虫の音も、聞けば浮世に飽き果て、時雨(しぐれ)も雨もすぐに漏る、門(かど)の下にて身を過ぎし、貧なる人の言ふやうは、「わが願ひは白銀(しろがね)をいま一貫目欲しや。ただ、この屋根葺いて住みたや」と。

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一 瓦(かはら)おち軒(のき)くづれとひらはありし名のみにて/n7-22r
  旧苔(きうたい)道をあつくとち藜藿(れいてう/あかざたて)ふかく茂り
  あひ枕にすたく虫の音もきけは浮世にあ
  き果(はて)て時雨も雨もすぐにもる門の下にて
  身を過ぎし貧(ひんなる)人のいふやうは我かねがひは
  しろかねをいま一貫めほしやただ此やねふいてすみたやと/n7-22l
1)
底本、右に「れいてう」、左に「あかざたて」と読み仮名。
text/sesuisho/n_sesuisho7-036.txt · 最終更新: 2022/07/17 15:35 by Satoshi Nakagawa