text:sesuisho:n_sesuisho7-015
醒睡笑 巻7 思の色を外にいふ
15 天台禅宗時衆僧三人座を同じいざ大きなる歌詠うて遊ばん ・・・
校訂本文
天台1)・禅宗・時衆2)、僧三人、座を同じ、「いざ、大きなる歌詠うて遊ばん」。「もつともなり」。「しかあらば、時衆は歌道に心がけの家なり3)。まづ詠み給へ」と言はれ、
唐土より日本にひよつと踊り出て須弥のあたりを遊行する人
また、天台沙門、
須弥山に腰うちかけて大空を笠に着たれど耳も隠れず
禅宗、
押し回し虚空をぐつと飲みこめど須弥の中骨(なかぼね)喉にさはらず
天台のいはく、「なんぢが在所、いづくなれば虚空をば飲むぞ」。時に禅、「誰(た)そ誰そ、腹の中にてもの言ふふは」。
翻刻
一 天台(てんたい)禅宗(せんしう)時衆僧三人座を同しいざ大な る哥ようてあそはん尤也然(しか)あらは時衆は 哥道に心かけの家へまつよみ給へといはれ 唐土より日本にひよつと踊(をどり)てて 須弥(しゆみ)のあたりを遊行(ゆぎやう)する人/n7-10l
又天台沙門 須弥山(しゆみせん)に腰(こし)うちかけて大空(ぞら)を 笠(かさ)にきたれと耳もかくれす 禅宗 をしまわし虚空(こくう)をくつとのみこめど 須弥の中骨(なかほね)喉にさはらず 天台の云汝が在所何くなれは虚空(こくう)をは のむぞ時に禅たそたそ腹の中にて物云(いふ)は/n7-11r
text/sesuisho/n_sesuisho7-015.txt · 最終更新: 2022/06/18 15:31 by Satoshi Nakagawa