ユーザ用ツール

サイト用ツール


text:sesuisho:n_sesuisho6-071

醒睡笑 巻6 恋のみち

2 夜半のころ隣にいさかふ声しけり・・・

校訂本文

<<PREV 『醒睡笑』TOP NEXT>>

夜半のころ、隣にいさかふ声しけり。「何事にや」と、夫婦(めをと)ながら起きて聞きゐたれば、男のいたづらなるにより、おこりたる悋気(りんき)いさかひ1)の、修羅を立つるなり。

聞きゐたる女房、何の理も非もなく、夫の頭(あたま)を続け張りに張りけり。夫、「これは何といふ狂乱ぞ」と言へば、「この後も、あの隣のいたづら男のやうに身を持つなといふことよ」。

迷惑の。2)

<<PREV 『醒睡笑』TOP NEXT>>

翻刻

一 夜半の比となりにいさかふ声しけりなに事にや
  とめをとなから起て聞ゐたれは男の徒なる/n6-35l
  によりおこりたるりんきかさかひの修羅を
  たづるなり聞ゐたる女房なにの理も非も
  なく夫のあたまをつつけばりにはりけり夫こ
  れはなんといふ狂乱そといへは此後もあのとなり
  のいたづら男のやうに身をもつなといふ事よ
       迷惑の/n6-36r
1)
「いさかひ」は底本「かさかひ」。諸本により訂正。
2)
底本この文、数文字下げで小書き。
text/sesuisho/n_sesuisho6-071.txt · 最終更新: 2022/05/10 16:03 by Satoshi Nakagawa