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児、里へ下る宵に、侍従を頼むは、紙に包みたる物を渡し、「これはわが秘蔵なり」と。「手本候ふや。いつくしき絵などかや」。「いや、白箸(しらはし)なり」。「それは世にたくさんなるものに候ふ。何とてさやうに重宝召さるるぞ¹⁾」。「子細あり。この箸をすわりたる日²⁾、続けて五度物を食うたれば、嘉例(かれい)のよきにあづくる」よし。

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一　児里へくたる宵に侍従を頼は紙につつみ
　　たる物をわたし是は我か秘蔵なりと手本
　　候やいつくしき絵などかやいや白箸なりそ
　　れは世にたくさむなる物に候なにとてさやう
　　に重宝めさるるに子細あり此はしをすわり
　　たる目つつけて五度物をくふたれは嘉例の
　　よきにあつくるよし／n6-8r