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text:sesuisho:n_sesuisho6-011

醒睡笑 巻6 児の噂

11 坊主餅を一つ持ちて出で二つに割り児三人の中にて秀句を言うて食はれよと・・・

校訂本文

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坊主、餅を一つ持ちて出で、二つに割り、「児(ちご)三人の中にて、秀句を言うて食はれよ」とあれば、小児、「この餅は三日月で、片割れあるよ」と言ひ、やがて取りけり1)。次の児、「はや月は山の端に入るよ」と言ひ取りてけり。

大児に向かひ、「そなたは心何とあるや」。「そのことよ。月入りて後(あと)なれば、わが晦2)は闇のやうな」と。

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翻刻

一 坊主餅を一つもちて出二つにわり児三人の
  中にてしうくをいふてくはれよとあれは
  小児此餅は三日月てかたはれあるよといひや
  かてよりけり次の児はや月は山の端に入
  よといひとりてけり大児にむかひそなたは
  心なにとあるや其事よ月入てあとなれは
  我晦はやみのやうなと/n6-8l
1)
「取りけり」は底本「よりけり」。諸本により訂正。
2)
「晦」は諸本「胸」。
text/sesuisho/n_sesuisho6-011.txt · 最終更新: 2022/04/21 10:59 by Satoshi Nakagawa