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text:sesuisho:n_sesuisho5-102

醒睡笑 巻5 人はそだち

35 山に児三人あり師の坊難題を出だし歌詠ませける・・・

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1)に児(ちご)三人あり。師の坊、難題を出だし、歌詠ませける。

小児(こちご)には、「摺糊木(すりこぎ)」。

  宇治川の橋の柱のしげければすりごき通る槙(まき)の島舟

中児(なかちご)には「菜みそう2)食らふ」。

  鳰(にほ)の海3)なみそふ月の影見れば今宵ぞ秋の最中(もなか)なりける

大児(おほちご)には、「藤花(ふぢのはな)」

  あら怖(こは)や藤の花食ふ胴亀(どうがめ)があこが尻をもくじりたがるは

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一 山に児三人あり師の坊難題(なんたい)を出し哥よ
  ませける  小児には
     摺糊木(すりこぎ)
   宇治川の橋の柱のしけけれは
    すりこきとをる槙の嶋舟
  中児には  菜〓(みそ)くらふ
   湖(ふを)の海(うみ)なみそふ月の影みれは
    今宵(こよひ)そ秋の最中也ける
  大児には  藤花/n5-68l
   あらこはや藤の花くふだうがめが
    あこか尻をもくじりたがるは/n5-69r
1)
比叡山延暦寺
2)
「みそう」は底本漢字一文字で判別できない。米篇に奏か。「みそう」と傍書。
3)
「鳰」は底本「湖」に「ふを」と傍書。諸本により訂正。琵琶湖の別名。
text/sesuisho/n_sesuisho5-102.txt · 最終更新: 2022/04/03 21:51 by Satoshi Nakagawa