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醒睡笑 巻5 上戸
8 振舞ひの席にて今日の亭主は生得下戸なり・・・
校訂本文
振舞ひの席にて、「今日の亭主は生得下戸なり。酒を三返(べん)のうへはしひぬぞ。油断するな」と、同じ心の友、みな目まぜをせし。
三返目に亭主出で、「いかほど参りたるぞ」と問ふ時、わざと気に受けさせんと思ひ、「はや四献とほりたる」と言ふ。「われらは稲荷を信仰の者なる、めでたう銚子を取るや」と言ふ。「稲荷を信じ給はば、今一献とほされよ。何1)とて、稲荷殿は四献四献(しこんしこん)と言はるるほどに」。
翻刻
一 ふるまひの席にてけふのていしゆは生得(しやうとく)下戸(げこ)也 酒を三返のうへはしいぬぞ油断するなと おなじ心の友みな目まぜをせし三返めに 亭主出いかほど参りたるぞととふ時態気 にうけさせんとおもひはや四献とをりたると いふ我等は稲荷を信仰(しんかう)のものなるめてたふ銚(てう) 子をとるやといふいなりを信したまはば今一 献とをされよなふとていなり殿(どの)は四献四献と/n5-42l
いはるるほどに/n5-43r
1)
「何」は底本「なふ」。諸本により訂正。
text/sesuisho/n_sesuisho5-050.txt · 最終更新: 2022/03/06 13:12 by Satoshi Nakagawa