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醒睡笑 巻5 上戸
7 花のもとに帰らんことを忘るるも霞の内の酒ゆゑや・・・
校訂本文
花のもとに帰らんことを忘るるも、霞の内の酒ゆゑや、巽(たつみ)上がりの夕雲雀(ゆふひばり)、調子ちがひに歌ひ舞ふ、あまの羽衣きにあへる友どちなれば、盃のかたぶく数も時うつり、今去りかねて夜を更かし、明けの日もなほ寝(いね)てゐる。これをいふかや二か酔(ゑ)ひと。
七つ八つなる息子あり。「親は何とて身を知られぬ。せめて一日酔(よ)はれかし1)」と。親、腹を立て、「二日」と「ゑひ」との間、句を切り、「ふつか、よい2)といふことなるものを」。
翻刻
一 花のもとにかへらん事をわするるもかすみの内の 酒ゆへやたつみあがりの夕雲雀てうしちがひに うたひまふあまの羽衣きにあへる友どち なれば盃のかたふくかずも時うつり今さり かねて夜をふかしあけの日もなをいねて ゐるこれをいふかや二かゑひと七つ八つなる むすこありおやはなにとて身をしられぬせ めて一日よはれしと親腹をたて二日と ゑひとのあひだ句をきりふつかよいといふ事/n5-42r
なるものを/n5-42l
text/sesuisho/n_sesuisho5-049.txt · 最終更新: 2022/03/06 12:44 by Satoshi Nakagawa