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醒睡笑 巻4 唯あり
9 夢庵堺の津におはしけるに方々より年の内の立春また元三の発句など・・・
校訂本文
夢庵1)、堺の津におはしけるに、方々より年の内の立春、また元三(ぐわんざん)の発句など、あまり望み多かりしかば、内の者に、「かまへて、誰々より申し来たるとも、『所労のことあり』と言うて取り次ぐべからず」と、かたく制し、休息ありけるが、正月五日の朝とく、いまだ寝(いね)ておはせし所へ、内の者、そとうかかひけるやう、「さる方より、子の日の発句所望のよし、申しこされ候ふはいかが。「かねてより言ひ付けけるを」とて叱らるる。「いや、祝儀に料足三貫参りたるが」と申しけるにぞ、「それならば、いで起きて発句せん」と。
翻刻
一 夢庵境の津におはしけるに方々より年の 内の立春又元三の発句などあまりの そみおほかりしかは内の者にかまへて誰々より 申来るとも所労(しよろう)の事ありといふて取次へ からすとかたく制(せい)し休息(きうそく)有けるが正月五日 の朝とくいまたいねておはせし所へ内の 者そとうかかびけるやうさるかたより子日 の発句(ほつく)所望のよし申こされ候は如何兼(かねて) よりいひつけけるをとてしからるるいや/n4-58l
祝義に料足(れうそく)三貫参りたるかと申ける にそそれならばいておきて発句せんと/n4-59r
1)
肖柏
text/sesuisho/n_sesuisho4-098.txt · 最終更新: 2022/01/26 12:25 by Satoshi Nakagawa