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醒睡笑 巻4 唯あり
10 本願寺の門跡ある冬堺の津に下向ありし時・・・
校訂本文
本願寺の門跡(もんぜき)、ある冬、堺の津に下向ありし時、男女みなみな迎ひに参りぬ。門跡、輿より降りて、住吉大明神に向ひ、手を合はせ念誦(ねんじゆ)し給ふを見、一人の姥(うば)、宿に帰り、「あの住吉といふお人は、何としたお人やら。本願寺さまさへ、お輿から降りて拝ませられた」と。
護念経の一心不乱、聞き得たり決定のまま1)。
西行、内宮2)の伏し拝みにて、
何事のおはしますとは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる
翻刻
一 本願寺の門跡(もんせき)ある冬境の津に下向あり し時男女みなみな迎(むかひ)に参りぬ門跡こしよ りおりて住吉大明神にむかひ手をあはせ 念誦(ねんしゆ)し給ふを見ひとりのむはやとにか へりあの住吉といふお人はなにとしたお人 やら本願寺さまさへおこしからおりておかませ られたと 護念経の一心不乱聞得たり決定の儘/n4-59r
西行内宮のふしおがみにて 何事のおはしますとはしらねとも 忝さになみたこほるる/n4-59l
text/sesuisho/n_sesuisho4-099.txt · 最終更新: 2022/01/26 18:51 by Satoshi Nakagawa