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醒睡笑 巻4 そでない合点

46 唐船の謡に身もがな二つとあるを一人はいもがな二つと覚ゆる・・・

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唐船(たうせん)の謡(うたひ)1)に、「身もがな二つ2)」とあるを、一人は「いもがな二つ」と覚ゆる。一人は「身もがな二つ」と覚え、いさかひになり、「この在所にて問はん人なし。寺に行き住持の僧に問はん」とて、二人連れ立ち、「かく」と言ふに、かの僧、本を読むまではなくて、「一番謡ひ給へ。聞いてすまさむ」と謡はせて、「かの一処には『身もがな』とあれども、ただ『いもがな二つ』がよい」。「いかなれば」と尋ねければ、「『日本人(にほんひと)も随喜(ずいき)3)せり』とあるほどに」。

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一 唐船(とうせん)の謡(うたひ)に身もかな二つとあるを一人
  はいもかな二つとおほゆる一人は身もかな二
  つとおほえいさかひになり此在所にてとはん
  人なし寺に行住持の僧にとはんとて二人つれ
  たちかくといふに彼僧本をよむまてはなくて
  一番うたひ給へきいてすまさむとうたはせて
  彼一処には身もかなとあれとも唯いもかな二つ/n4-53l
  がよい如何なれはと尋けれは日本人も随喜せ
  りとあるほどに/n4-54r
1)
謡曲「唐船」
2)
身もがな二つ箱崎の恨めしの心づくしや『唐船』。
3)
かほどの孝子ありけるよと日本人も随喜せり『唐船』。随喜・芋茎
text/sesuisho/n_sesuisho4-088.txt · 最終更新: 2022/01/23 12:46 by Satoshi Nakagawa