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醒睡笑 巻4 聞こえた批判
16 京にて家を買うたる者その家に付きたる廊下あり・・・
校訂本文
京にて家を買うたる者、その家に付きたる廊下1)あり。これをもこぼし取らんとす。売主(うりぬし)、「念(ねん)もなし。われは家一つをこそ売りたれ。廊下のことは思ひも寄らず」と、牛角(ごかく)に理を言ひつのりて、一向すむべき道もなければ、互ひに公儀の沙汰となる。
所司代多賀豊後守2)、掟(おきて)して、「廊下はこれ通路のためなり。後に作れる家の方へ付くべし」と下知せられたり。
翻刻
一 京にて家をかふたる者其家につきたる/n4-18l
廊下(らうか)ありこれをもこほしとらんとす売(うり) 主念(ねん)もなし我は家一つをこそうりたれ らうかの事はおもひもよらすと牛角(とかく)に理 をいひつのりて一向すむへき道もなけれは互(たがい) に公儀の沙汰となる所司代多賀豊後守掟(おきて)し て廊下(らうか)はこれ通路(つうろ)のためなり後につくれ る家の方へつくへしと下知せられたり/n4-19r
text/sesuisho/n_sesuisho4-016.txt · 最終更新: 2021/11/20 12:09 by Satoshi Nakagawa