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醒睡笑 巻3 自堕落
23 ある出家深く隠して鱠を食ひけるところへふと檀那来たれり・・・
校訂本文
ある出家、深く隠して鱠(なます)を食ひけるところへ、ふと檀那来たれり。せんかたなさに、皿ともに頭(あたま)へうつぶけ、手にて抑へたれば、頬からおとがひへ汁の流るるを見付け「こなた1)には腫物(しゆもつ)ができ参らせたか2)と問ふ。「おう」と言へばよかりしを、あまりに肝をつぶし、「いや、にはかにぬた鱠ができて候ふ」といひけり。
翻刻
一 ある出家ふかくかくして鱠(なます)をくひける処へ ふと檀那来れり為方なさに皿ともにあ たまへうつふけ手にてをさへたれは頬(ほう)/n3-46l
からおとがいへ汁のながるるを見つけと なたには腫(しゆ)物ができまいらせたるととふおふ といへばよかりしをあまりに肝(きも)をつぶし いや俄にぬたなますができて候と いひけり/n3-47r
text/sesuisho/n_sesuisho3-099.txt · 最終更新: 2021/11/04 23:02 by Satoshi Nakagawa