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醒睡笑 巻3 自堕落
13 学跡をものぞきけるほどの沙門鰻を板折敷の裏に置き・・・
校訂本文
学跡をものぞきけるほどの沙門、鰻(うなぎ)を板折敷(いたをしき)の裏に置き、菜刀(ながたな)にて切るところへ、思ひもよらぬ檀那参りたり。少も色をたがへず、「世界みな不思議をもつて建立す。されば、連々(れんれん)『山の芋が鰻になる』と人の言ふてあれど、さだめて虚説(きよせつ)ならんと疑ひしが、これ御覧ぜよ、山の芋を汁にし食はんと思ひ、取り寄せおきたれば、見るがうちにかやうになりて候ふは。何事も物疑ひ召さるるな。これ御覧あれ」とぞ申されける。
翻刻
一 学跡をものそきける程の沙門鰻(うなき)を板折 敷のうらにをきなかたなにてきる処へ おもひもよらぬたんな参りたり少も色を たがへす世界(せかい)みな不思義を以(もつ)て建立(こんりう)/n3-41l
すされは連々山のいもか鰻(うなき)になると人の いふてあれとさためて虚説ならんと疑(うたかひ)ひ しがこれ御覧せよ山のいもを汁にしくはん とおもひとりよせをきたれは見るかうちに かやうになりて候は何事ももの疑めさるる なこれ御覧あれとぞ申されける/n3-42r
text/sesuisho/n_sesuisho3-089.txt · 最終更新: 2021/11/03 16:44 by Satoshi Nakagawa