text:sesuisho:n_sesuisho3-045
醒睡笑 巻3 不文字
26 人客を得て菓子に蜜柑を持ち出でこれは庭前のにて候ふと言ふ・・・
校訂本文
人、客を得て、菓子に蜜柑を持ち出で、「これは庭前のにて候ふ」と言ふ。客、取りて見、「さてさて新しや。店(たな)などにあらんは、いかでかやうには候ふべき」と大きに感じけるを、おもしろき時宜(じぎ)とや聞きなしけん、今度客に振舞(ふるまひ)のあげくに、麩(ふ)を煮しめて重に入れ、その席へ持ち出で、「これは庭前の麩で候ふ」と申したは。
翻刻
一 人客を得て菓子に蜜柑をもち出これは 庭前のにて候といふ客とりて見さてさて新(あたら) しや店(たな)なとにあらんはいかてかやうには候べきと 大に感じけるをおもしろき時宜(しぎ)とやききな しけん今度客にふるまひのあげくに麩(ふ)を にしめて重に入其席(せき)へもち出これは庭前の 麩て候と申たは/n3-20l
text/sesuisho/n_sesuisho3-045.txt · 最終更新: 2021/10/03 12:52 by Satoshi Nakagawa