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text:sesuisho:n_sesuisho2-103

醒睡笑 巻2 賢だて

13 秀次関白殿より遊行上人へつかはし給ふ・・・

校訂本文

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秀次関白殿1)より、遊行上人2)へつかはし給ふ、

  上人は霞の衣霧の数珠あまけ3)はなれぬそら念仏かな

返歌、

  水鳥は水に入りても羽(は)も濡れず海の魚とて塩も染まばや

秀吉太閤4)、このよし聞こし召して、「秀次の御もてあつかい、さらに詮(せん)なき作法なり」と御噂ありしが、果して上人には一宇建立(いちうこんりふ)ありてつかはされし。今の法国寺これなり。

  名僧と名乗らずとても善知識(ぜんちしき)身をふくにこそ人は秋風

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一 秀次関白殿より遊行上人へ遣し給ふ
   上人は霞の衣きりの数珠
   あまけはなれぬそら念仏かな
  返哥
   水鳥は水に入ても羽もぬれす
   うみの魚とてしほとしまはや
  秀吉太閤此由聞召て秀次の御もて
  あつかい更に詮なき作法也と御噂ありし
  がはたして上人には一宇建立ありてつかは/n2-52l
  されし今の法国寺是なり
   名僧となのらすとても善知識
   身をふくにこそ人は秋風/n2-53r
1)
豊臣秀次
2)
時宗の管長。遊行寺住職。
3)
雨気・尼気
4)
豊臣秀吉
text/sesuisho/n_sesuisho2-103.txt · 最終更新: 2021/09/05 17:22 by Satoshi Nakagawa