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醒睡笑 巻1 鈍副子
13 塔頭の僧途中より客をつれ立ち帰る・・・
校訂本文
塔頭(たつちゆう)の僧、途中より客をつれ、立ち帰る。小僧出でて、「ここなる縁には虱(しらみ)が候ふ」と言ふ。坊主、目をして、「そのやうなことを高くは言はぬものぞ」と叱られし。
重ねて立ち寄り、虱と思ひしをしづかに見、坊主に向ひささやき、「虱ではおりない。わたがみの落ちたでござつた」。
虱ほど世をへつらはぬものはなし貧なるものになほも近付く
翻刻
一 塔頭(たつちう)の僧途中(とちう)より客をつれたち帰る小 僧出て爰なる縁には虱(しらみ)か候といふ坊主目 をしてそのやうな事をたかくはいはぬ物そと しかられしかさねて立より虱とおもひしをしつ かに見坊主にむかひささやき虱ではおりない わたかみのおちたて御さつた/n1-52l
しらみほと世をへつらはぬ物はなし 貧なるものになをもちかつく/n1-53r
text/sesuisho/n_sesuisho1-110.txt · 最終更新: 2021/05/17 23:16 by Satoshi Nakagawa