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text:karakagami:m_karakagami1-02

唐鏡 第一 伏羲氏より殷の時にいたる

2 女媧氏

校訂本文

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次の帝皇をば女媧氏(ぢよくわし)と申しき。伏羲の御妹にて女帝なり。これも蛇の身人の首にてまします。始めて笙簧(せうくわう)1)を作り給へり。

この御時、四極廃(すた)れ、九州裂けて天覆はす。地載せざることありしに、五色の石を練りて蒼天を補はせ2)給ひしこそありがたかりしか。幕幄(まくあく)・帷帳(ゐちやう)もこの御時作られたりき。

この女帝は宝吉祥菩薩3)の権化なり。日月を造り給ひける事は、伏羲の御時に申しつ4)。「西方に還りましましき」など見え侍れば、伏羲・女媧、もし観音5)・勢至6)にておはしますにや。

この女媧氏より無懐氏(ぶくわいし)に至るまで、十五代は皆伏羲の号を襲(つ)ぎ給ひて木徳なり。合はせて一万一千一十二年と承りし。

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翻刻

次の帝皇をは女媧氏(チヨクワシ)と申き伏羲の御妹にて女帝なりこれ
も蛇の身人の首にてまします始て笙簧(セウクワウ/萬吹物也)を作りたまへ
りこの御時四極(キヨク)廃(スタ)れ九州裂(サケ)て天覆はす地載(ノセ)さる
ことありしに五色の石を練(ネリ)て蒼(サウ)天を補(ヲキナイ)を(セイ)給しこそ
ありかたかりしか幕幄(ニクアク)帷帳(クトチヤウ)もこの御時つくられたり
きこの女帝は宝吉祥菩薩の権化なり日月を造り/s8l・m15

https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100182414/viewer/8

たまひける事は伏羲の御時に申つ西方に還ましまし
きなと見え侍れは伏羲女媧もし観音勢至にておはし
ますにや
 この女媧氏より無懐氏(フクワイシ)にいたるまて十五代は皆伏羲の号
 を襲(ツキ)たまひて木徳なり合て一万一千一十二年とうけ
 たまはりし/s9r・m16

https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100182414/viewer/9

1)
底本「萬吹物也」と注。
2)
底本「補を」。異本注記「セイ」に従う。
3)
文殊菩薩
4)
1 伏羲氏参照。
5)
観世音菩薩
6)
勢至菩薩
text/karakagami/m_karakagami1-02.txt · 最終更新: 2022/10/03 19:05 by Satoshi Nakagawa