text:ichigonhodan:ndl_ichigon108
一言芳談抄 巻之下
108 鎮西の本覚房明遍に問ひ奉りて云はく心もし散漫せば・・・
校訂本文
鎮西(ちんぜい)の本覚房、明遍に問ひ奉りて云はく、「『心(しん)もし散漫せば、その時の称名(しようみやう)、善にあらず。心を静かにしてのち、唱ふべきなり』と申し候ふは、いかが用意すべく候ふらん」。答へて云はく、「それは上機(じやうき)にてぞ候ふらん。空阿弥陀仏1)がごとき下機は、心をしづむることは、いかにもかなひがたければ、念珠の緒(を)を強くして、乱不乱(らんふらん)を論ぜず、繰りゐてこそ候へ。心のしづまらん時と思はんには、堅固(けんご)、念仏申さぬものにてこそ候はんずれ」。
翻刻
鎮西(ちんぜい)の本覚房明遍に奉問(といたてまつりて)云。心(しん)若(もし)散漫(さんまん)せば。其時の 称名(せうみやう)善(ぜん)にあらず。心をしづかにして。のち可唱(となふべき)也と申 候は。いかが可用意(よういすべく)候らん。答(こたえて)云。其(それ)は上機(き)にてそ候らん 。空阿弥陀仏(くうあみだぶつ)がごとき下機は心をしづむる事は 。いかにもかなひがたければ。念珠(ねんしゆ)の緒(を)をつよくして 。乱不乱(らんふらん)を不論(ろんぜず)。くりゐてこそ候へ。心のしづまらん時と/ndl2-15l
https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/2583391/1/15
。思はんには堅固(けんご)念仏申さぬものにてこそ候はんすれ/ndl2-16r
1)
明遍
text/ichigonhodan/ndl_ichigon108.txt · 最終更新: 2023/10/30 00:39 by Satoshi Nakagawa