うさぎけいぎしょ
藤原定家作に仮託された歌論書。『愚秘抄』『三五記』『愚見抄』『桐火桶』などを指す。
阿仏尼が藤原為家のもとから持ち出して冷泉家に伝えた歌書の中に「鵜鷺の書」(鵜鷺二帖・鵜本鷺末)があったという所伝から発生した偽書のため鵜鷺系という。
内容的には『毎月抄』の有心体論と十体論を下敷きにしているが、定家の論とは異質のものであると考えられる。
鎌倉時代末期から室町時代にかけて、二条派と冷泉派の対立の中から生まれたと考えられるが、正徹・心敬・世阿弥などの歌論・連歌論・能楽論に強い影響を与えた。