もうぎゅう
唐代の李澣の作という。題名は『周易』蒙卦の「有童蒙求我之義」に由来し、啓蒙の書 とする目的で書かれた。
一句おきに韻を踏む、二句八字の対句による詩になっており、一句で一人の人物の事跡を述べている。計596句。
古くから、一句一句の事跡を具体的に書く注釈が行われたが、宋の徐子光は古注を大幅に増補改訂し、 読み物としての『蒙求』を成立させた。前者を古注といい、後者を徐注という。
徐注成立以後、一般に『蒙求』といったときは、徐注本を指す。
「勧学院の雀は蒙求を囀る」のことわざどおり、わが国では古くから漢籍への入門書 として『蒙求』が使われた。
記録としては『三代実録』陽成天皇元慶二年(878)の条に、貞保親王の読書始に披香 舎で橘広相が侍講となって『蒙求』が読まれたという記録がある。
多くの文学作品に影響を与えたが、『唐物語』や『蒙求和歌』などには直接の影響を与えている。
江戸時代以降、徐注本が普及し、多くの注釈書が作られた。