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text:towazu:towazu5-13

とはずがたり

巻5 13 かこつ方なき思ひの慰めにもやとて天王寺へ参りぬ・・・

校訂本文

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かこつ方なき思ひの慰めにもやとて、天王寺へ参りぬ。「釈迦如来、転法輪所(てんぽうりんしよ)」など聞くもなつかしく覚えて、「のどかに経をも読みて、しばしはまぎるる方なくて候はん」など思ひて、一人思ひ続くるも悲しきにつけても、女院1)の御方の御思ひ、推し量り奉りて、

  春着てし2)霞の袖に秋霧のたち重ぬらん色ぞ悲しき

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かこつかたなきおもひのなくさめにもやとて天王寺へまいりぬ
しやか如来てんほうりんしよなときくもなつかしくおほえて
のとかに経をもよみてしはしはまきるるかたなくて候はんなと
おもひてひとりおもひつつくるもかなしきにつけても女院の
御かたの御おもひをしはかりたてまつりて
   春きせしかすみの袖に秋きりのたちかさぬらん色そかなしき/s224r k5-32

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100218515/viewer/224

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1)
遊義門院・姈子内親王
2)
「着てし」は底本「きせし」
text/towazu/towazu5-13.txt · 最終更新: 2019/11/12 16:05 by Satoshi Nakagawa