text:tosanikki:se_tosa25
1月16日 室津
校訂本文
十六日、風・波やまねば、なほ同じところ1)にとまれり。ただ、「海に波なくして、いつしか御崎(みさき)2)といふ所渡らん」とのみなむ思ふ。
風・波、頓(とに)にやむべくもあらず。ある人の、この波立つを見て詠める歌。
霜だにもおかぬかたぞといふなれど波の中には雪ぞ降りける
さて、船に乗りし日より今日までに、二十日あまり五日になりにけり。
翻刻
十六日かせなみやまねはなほおなし ところにとまれりたたうみになみ なくしていつしかみさきといふところ わたらんとのみなむおもふかせなみ とににやむへくもあらすあるひとの このなみたつをみてよめるうたしも/kd-24r
たにもおかぬかたそといふなれとなみ のなかにはゆきそふりけるさてふね にのりしひよりけふまてにはつかあ まりいつかになりにけり/kd-24l
text/tosanikki/se_tosa25.txt · 最終更新: 2023/09/12 16:25 by Satoshi Nakagawa