text:takafusa:s_takafusa089
89 いかにしていかにすべしと覚えぬはわれと君との仲にぞありける
校訂本文
「かくばかり堪へがたく覚ゆるならば、はかなき世に、とてもかくてもありなん」と思ひとりて、「いかならん所へもひき具して去(い)なむ」と思へども、「それも人聞きおびたたしかりぬべし。また、かくてもあるべき心地もせず。とにかくに、われを苦しむる君なりけり」とあぢきなく、
いかにしていかにすべしと覚えぬはわれと君との仲にぞありける
翻刻
かくはかりたへかたくおほ ゆるならははかなき世にとて もかくてもありなんとおもひ とりていかならん所へもひき くしていなむとおもへとも それも人ききおひたたしかりぬへし/s38r
またかくてもあるへき心地 もせすとにかくにわれをく るしむる君なりけりと あちきなく いかにしていかにすへしとおほえぬは われと君との中にそありける/s38l
text/takafusa/s_takafusa089.txt · 最終更新: 2024/06/18 10:50 by Satoshi Nakagawa