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text:sesuisho:n_sesuisho8-150

醒睡笑 巻8 茶の湯

16 大相国御数寄ありし時濃茶を挽き奪ひ御秘蔵の井戸茶碗割れけり・・・

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大相国1)、御数寄ありし時、濃茶(こいちや)をひき奪ひ、御秘蔵の井戸茶碗割れけり。御気色変ることなく、「幽斎2)の歌の出来不出来によるべし」と御諚(ごぢやう)あれば、

  つつゐづの五つに割れし井戸茶碗とがをばわが身おひにけらしな

と詠じ給へば、「この茶碗が割れずは、何であらうぞ」と、御感情(ごかんぜい)3)深かりき。

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一 大相国御数寄ありし時こい茶をひきうはひ/n8-58r
  御秘蔵の井戸茶碗われけり御気色かはる
  事なく幽斎の哥の出来不出来によるへし
  と御諚あれは
   つつ井つの五つにわれし井戸茶碗
    とがをは我身おひにけらしな
  と詠し給へは此茶碗がわれすはなんてあ
  らふそと御威情ふかかりき/n8-58l
1)
豊臣秀吉
2)
細川幽斎
3)
「御感情」は底本「御威情」。諸本により訂正。
text/sesuisho/n_sesuisho8-150.txt · 最終更新: 2023/03/09 19:09 by Satoshi Nakagawa