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醒睡笑 巻8 茶の湯
7 ある寺の住持檀那へ見舞はれける土産の茶あり・・・
校訂本文
ある寺の住持、檀那へ見舞はれける。土産(みやげ)の茶あり。主人ありがたく思ひ、内に請じ、「まづ茶を進ぜよ1)」とたてて出づる。
亭主、一口飲み、「これは散々の苦名(くめい)や」と叱る時、女房、「それは、お寺よりお持たせのお茶」と断るにぞ、亭主、言はんことなく、「今一口二口飲み、なかなかや。くださるるほど良い」と。
翻刻
一 ある寺の住持檀那へ見まはれける土産の茶 有主人ありかたくおもひ内に請しまつ茶を 進せしとたてて出る亭主一口のみ是は散々 の苦名やとしかる時女房それはお寺より おもたせのおちやとことはるにそ亭主いはん 事なく今一口二口のみ中々やくたさるる ほとよいと/n8-54l
1)
「進ぜよ」は底本「進せし」。諸本により訂正。
text/sesuisho/n_sesuisho8-141.txt · 最終更新: 2023/02/07 22:44 by Satoshi Nakagawa