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text:sesuisho:n_sesuisho8-123

醒睡笑 巻8 秀句

9 夏の天に数日雨なうて民家旱損を歎き・・・

校訂本文

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夏の天に、数日雨なうて1)民家旱損(かんそん)を歎き、氏神の社頭に風流(ふりう)をかけ雨を乞ふに、一滴も降らず。「いつも降るが奇特(きどく)や」など沙汰しあへり。

かたくななる宿老(しゆくらう)、うちうなづき、「今度の踊りが、うらは一向気に合はなんだ。なにが太鼓をば、『てれつけてれつけ、てつてれつけ2)』と打ち、鐘をば、『てんき、てんきや3)』と叩いて、笛を、『ひよりや、ひより4)』と吹いたもの。何として降らうよ」。

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一 夏の天に数日雨なりて民家旱損を歎氏
  神の社頭に風流をかけ雨を乞に一滴もふら
  すいつもふるか奇特やなと沙汰しあへりかた
  くななる宿老うちうなつき今度のおとり
  かうらは一向気にあはなんたなにが大鼓をば
  てれつけてれつけてつてれつけとうち鐘をはてん/n8-47r
  きてんきやとたたいて笛をひよりやひよりとふい
  た物なにとしてふらうよ/n8-47l
1)
「なうて」は底本「なりて」。諸本により訂正。
2)
照れつけ・太鼓の音
3)
天気・鐘の音
4)
日和り・笛の音
text/sesuisho/n_sesuisho8-123.txt · 最終更新: 2022/12/26 12:57 by Satoshi Nakagawa