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text:sesuisho:n_sesuisho8-051

醒睡笑 巻8 頓作

51 新田秀忠将軍江戸の御城にて・・・

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新田秀忠将軍1)、江戸の御城にて、大名衆御振舞(だいみやうしうおんふるまひ)なさるるに2)、御鷹の雁の汁を仰せ付けられし。再進(さいしん)しげかりつるを御覧ぜられ、たはぶれに、

 振舞の汁やたびたびかへる雁

同じき元和九年の春、

 山々の雪のあたまやはるの雨3)

といふ前句に、

 にぎりこぶしを出だすさわらび

また、

 高き物をぞ安く売り買ふ

といふ句に、

 富士の山扇にかきて二三文

また、

 今朝あけて雪をとりたす箱根かな

同じく、いづれの年の始めにやらん、

 武蔵鐙(むさしあぶみ)ふんばつて立つ霞かな

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一 新田秀忠将軍江戸の御城にて大名衆御
  振舞なきるるに御鷹の雁の汁を仰付られし
  再進しけかりつるを御覧せられたはふれに
   ふるまひの汁やたひたひかへる雁
  同元和九年の春
   山々の雪のあたまや春の雨/n8-21l
  といふ前句に
   にきりこふしを出すさわらひ
  又
   高き物をそやすくうりかふ
  と云句に
   ふしの山扇にかきて二三文
  又
   今朝あけて雪をとりたす箱根哉
  同いつれの年の始にやらん/n8-22r
   武蔵あふみふんはつてたつ霞かな/n8-22l
1)
徳川秀忠
2)
「なさるるに」は底本「なきるるに」。諸本により訂正。
3)
春・張る
text/sesuisho/n_sesuisho8-051.txt · 最終更新: 2022/11/01 14:39 by Satoshi Nakagawa