text:sesuisho:n_sesuisho8-020
醒睡笑 巻8 頓作
20 豊後にて府内の城を廻国の僧見物するに・・・
校訂本文
豊後にて、府内の城を廻国の僧見物するに、十月の末、商人(あきんど)、門の外に柑子(かうじ)を売るあり。かの僧一つ取りて食はんとする。「これは」ととがむれば、「『かうじ門を出でず1)』とあり。これは門外なり」。
「やれ曲事(くせごと)や」と言つて、扇を持ち打たんとする。「こはそもいかに」。「『僧は敲(たた)く月下の門2)』と言へり」。
翻刻
一 豊後にてふないの城を廻国(くわいこく)の僧見物する に十月の末商(あき)人門の外に柑子(かうじ)をうるあり 彼僧一つとりてくはんとする是はととかむれば かうし門を出すとありこれは門外也やれ曲(くせ)事/n8-10l
やといつて扇をもちうたんとするこはそも いかに僧はたたく月下の門といへり/n8-11r
text/sesuisho/n_sesuisho8-020.txt · 最終更新: 2022/10/04 16:08 by Satoshi Nakagawa