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text:sesuisho:n_sesuisho7-091

醒睡笑 巻7 謡

33 京の丸山といふ所に人あまた遊びける振舞の菜に醤出でたり・・・

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京の丸山といふ所に、人あまた遊びける。振舞の菜(さい)に醤(ひしほ)出でたり。風味ことに勝絶(しようぜつ)なり。「この醤といふ物をば、誰(たれ)がたくみに作りそめつるや」と言ふ。「これこそ、隠れもない、融(とほる)の大臣(おとど)1)より出来そめたるものよ」と。「なにぞ文(ふみ)に書きてあるか」。「なかなか、すなはち融2)に、『浦はそのままひしほとなつて3)』と」。

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一 京の丸山といふ処に人あまたあそびけるふる
  まいの菜(さい)に醤(ひしほ)出たり風味ことに勝絶(しやうぜつ)なり
  このひしほといふ物をは誰(たれ)がたくみに作り
  そめつるやといふこれこそかくれもなひ
  融(とふる)の大臣(おとと)より出来そめたる物よとなにぞ/n7-47r
  文に書てあるか中々すなはち融に浦(うら)は
  其ままひしほとなつてと/n7-47l
1)
源融
2)
謡曲「融」
3)
融「然れどもその後は相続して翫ぶ人もなければ。浦はそのまま干汐となつて」。
text/sesuisho/n_sesuisho7-091.txt · 最終更新: 2022/09/03 15:05 by Satoshi Nakagawa