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text:sesuisho:n_sesuisho7-077

醒睡笑 巻7 謡

19 備後と出雲は並びの国なり備後に尺田といふ山家あり・・・

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備後と出雲は並びの国なり。備後に尺田(しやくだ)といふ山家あり。かの在所の姥(うば)、出雲の三沢(みさは)といふに神事能あるを見物に行き、橋がかりの脇にゐたり。高砂1)をする時、「姥こそ当所の人なれ。知ることあらば申させ給へ2)」と、きつと件(くだん)の姥が方を見てあれば、姥驚き申しけるやう、「うらは尺田の者で、何も言はうではおじやらぬ」。

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一 備後(びんご)と出雲(いづも)はならひの国なり備後に尺田(しやくた)と
  いふ山家あり彼在所のうは出雲の三沢(みさは)と
  いふに神事能あるを見物に行はしがかりの
  わきにゐたり高砂をする時うばこそ当所の
  人なれしる事あらば申さ給へと急度(きつと)件(くたん)の
  うばかかたを見てあれは姥驚(おとろ)き申ける
  やううらはしやくだのものでなにもいはふては/n7-41r
  おじやらぬ/n7-41l
1)
謡曲「高砂」
2)
「申させ給へ」は底本「申さ給へ」。諸本により補う。
text/sesuisho/n_sesuisho7-077.txt · 最終更新: 2022/08/15 17:14 by Satoshi Nakagawa