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text:sesuisho:n_sesuisho7-072

醒睡笑 巻7 謡

14 楊貴妃を玄宗の后といふはえ知らぬ者の言ふことよ・・・

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「楊貴妃を玄宗の后(きさき)といふは、え知らぬ者の言ふことよ。惣別(さうべつ)、楊貴妃は熱田から出でられたといふがまことなり」。「長恨歌に、しかと楊玄琰(やうげんえん)が娘、玄宗の后とあるに」。「いや、それはむざとしたることぞ。幸ひ楊貴妃に、ぬしと懺悔して1)、『われもそのかみは、浄海のせせつたるが2)』と言はれたもの。

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一 楊貴妃(やうきひ)を玄宗(けんそう)の后(きさき)といふはえしらぬ者の
  いふ事よさうべつやうきひは熱田から出られ
  たといふがまこと也長恨(ごん)哥に然と楊玄琰(やうげんえん)
  が娘(むすめ)玄宗の后とあるにいやそれはむさと
  したる事そ幸楊貴妃にぬしとさんけ
  てわれもそのかみは浄海のせせつたるがと/n7-39r
  いはれたもの/n7-39l
1)
「して」は底本「し」なし。諸本により補う。
2)
謡曲『楊貴妃』「我もそのかみは、上界の諸仙たるが」の「上界」を「浄海(平清盛)」に、「諸仙」を「せせる(もてあそぶの意)」と誤解したもの。
text/sesuisho/n_sesuisho7-072.txt · 最終更新: 2022/08/15 16:46 by Satoshi Nakagawa