text:sesuisho:n_sesuisho7-012
醒睡笑 巻7 思の色を外にいふ
12 当宗の檀那帰依する寺の普請あるに行きて小壁下地をかきけるが・・・
校訂本文
当宗1)の檀那、帰依する寺の普請(ふしん)あるに行きて、小壁下地(こかべしたぢ)をかきけるが、あやまちに縄切れ、高き所より落ちざまに、「南無阿弥陀」と叫ぶ。同行(どうぎやう)の者の救ひ助け、心地少し出できたる時。「かりそめも題目をば念せずして、いかがなれば、あさましく念仏をば申つるや」と問ふ。「さればよ、さきの落ちざまには、ていと死ぬると思うてあつたは」と。
翻刻
一 当宗のたんな帰依する寺の普請あるに/n7-9r
行て小壁下地(こかべしたぢ)をかきけるがあやまちに縄(なは) きれ高き所より落さまに南無阿弥陀と さけぶ同行(どうきやう)の者のすくひたすけ心地すこし いてきたる時かりそめも題目(たいもく)をば念せず していかかなればあさましく念仏をは申つる やととふさればよさきのおちさまにはていと しぬると思ふてあつたはと/n7-9l
1)
日蓮宗
text/sesuisho/n_sesuisho7-012.txt · 最終更新: 2022/06/15 22:14 by Satoshi Nakagawa